2018年度対政府交渉報告

2018年11月5日、全労協全国一般労働組合全国協議会教育関係労働組合グループは、全国一般中央の指導と阿部知子衆議院議員事務所の協力のもと、衆議院議員会館において文部科学省及び厚生労働省との間で交渉を行なった。

我々が当面している主要ないくつかの課題を正しく解決していくための要求を提出し、所轄官庁の見解を質し、討論を通じて解決に資するものを見出し、併せて以後の有用な情報交換の具体的ルートを各関係部署との間に確保することがこの交渉の目的であった。

 

交渉は2時間に渡り休憩なしで行なわれ、交渉後も各種のやり取りが当方と各関係部署との間で行なわれてきたのでその全体の記録は相当量に上る。

 

以下は、本交渉に際して提出した要求書に記載した要求項目それぞれについて、交渉及びその後のやり取りの中で重要あるいは有益と思われる点をゼネラルユニオンの責任で抽出・要約したものである。

注:以下”G”は政府側、”U”は組合側

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1. 大学・教育委員会での講師委託について
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G:文部科学省は毎年「英語教育実施状況調査」を行ない、ホームページ上で公開している。
U : 2009年に文部科学省が出した通知は「業務請負契約はあってははならない」という通知ではないのか。
G:違法判断をしているわけではない。
U : では、契約形態をなぜ調査しているのか。我々が現場で見る教育委員会が入札をかけるその業務内容は「ティーム・ティーチング」である(注:今回の交渉に当たって、関係組合は協力して関東・東海・関西・九州地域で約970の教育委員会を対象にアンケート調査を行ない、約200の教育委員会から回答があり、この実態を基礎に交渉に臨んだ)。業務請負契約を適法に活用している事例があれば教えて欲しい。
G:大学においては、請負契約の場合は、大学が指揮命令をすることはできないし授業の一切の丸投げは認められないが、請負がダメだとは言っていない。
U : 大学・教育委員会のいずれでも、「適法な請負契約」の具体例を調査し、後日連絡して頂きたい。
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後日、文部科学省のそれぞれの担当部署から以下の連絡および資料提供が行なわれた。
教育委員会について:見解  
大学について:見解資料 

いずれも、請負契約では「教える」ことはできず「会話のデモンストレーション」のみが適法、という内容であった。これは我々の今後の交渉、活動にとって具体的で有益な指針となる。

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2. 社会保険加入について
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U : 掛け持ちパートの場合、どこも週20時間未満だが週の労働時間は短時間ではない人が多くいる。こうした理由で全く社会保険に加入できない人が多数いる状態の見直し、救済策を検討する事はないか。
私学共済では、法施行前は4分の3も20時間もあまり関係なく適用されていた人がいたが、法施行後は一つの学校で20時間以上ないと加入できなくなった。次の変更の時に検討してほしい。
国の全体的方針は「社会保険加入者拡大」と理解しているので、その面からも検討を願いたい。
G : 法施行後前は事業所間で差異があった。施行後は適用が明確化されたということで、多くの方を救済するその方が必要な条件であると考えている。2019年9月の加入要件見直しについては厚生労働省年金部会で様々な議論がある。注視して行きたい。
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厚生労働省担当部署から後日、連絡が寄せられた。 

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3. 労働契約法違反・無期雇用転換逃れの脱法行為について
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U:無期転換は法の趣旨に照らして順調に進んでいるか。
G:啓発指導も行なわれた。人手不足の側面が大きいので、無期転換制度としては効果を発揮している。
U: 労働現場では有期労働者を無期にしたくない使用者は多い。就業規則を変更し契約更新5年上限を設けるなどは、無期転換が雇用の安定を図るものという意味がない。このような「契約更新5年上限」が何の規制もなく許容されれば制度の趣旨の効果は大きく制限される。これらを規制するなどの議論はあるか。
G: 労働契約自体が個人間の契約であり、民事法規であるので、そうした契約を結んではならないというものではないが、就業規則を無期転換権が発生する5年目に5年上限に変更する事は望ましくないと厚労省も考えており、必要な啓発指導、法の説明をしている。
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4. 「無期転換特例」―「10年ルール」について
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U:この問題は、労働契約法が改正され「無期転換5年ルール」ができてからにわかに浮上した。任期法及び研究開発強化法にはいずれも、特例の対象となる業務がそれぞれ3類型ずつ明記され、「本人との同意が必要」とされている。しかし現実には、非常勤講師が突然「特例適用対象で無期転換は5年後」と言われる事例が多数ある。「非常勤はみんな特例対象」などということがあるのか。
G: 対象者が特例の規定に該当するかどうかは、司法の判断になる。特例の対象者と有期労働契約を結ぶ場合には、各大学が特例の対象者であることを明記する書面を対象者と結ぶこと等によって、適切に運用するように促している。
労働条件の説明は、特例対象者に説明をするように各大学がするべきと考えている。非常勤は任期法に基づかない労働契約は対象ではない。特例対象の類型に入らなければ、対象者にならない。
少なくともどの類型の対象であるかという事は本人に知らせなければならないし、大学がどの場合にどの特例に基づくかという事を明確にしなければならない。合意を形成するプロセスの中で、説明を尽くしてもらいたいが、最終的には労使の問題だ。
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後日、厚生労働省担当部署から補足説明が寄せられた。

この件に関しては、今後の活動、交渉に有益な以下が確認されたと言える。
(1) 特例の適用に当たっては、対象者が「どの特例対象の類型に入るのか」が明確にされなければならない。
(2) この点について、大学と非常勤教師との間で合意が形成されなければならない。

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5. まとめ
交渉当日以降のやりとりを含む今回の対政府交渉では、今後の活動にとって有益ないくつかの獲得物があった。また、情報交換ルートも強化された。
これら全てを共有することによって、関係労組それぞれの活動と共同とを更に発展させることが望まれる。


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