労組周辺動向 No.12 2017年6月30日現在

1. 進む日本の勤労者の「貧困化」

(1) 手取り額は20年間で月7万円近く減少

総理府統計局全国家計調査(2人以上の勤労者世帯)を1997年と2016年とで比較すると;

税金や社会保険料などの「非消費支出」は1997年が98,179円、2016年が98,586円で実収入(額面)に占める負担率は一貫して増加。1997年は16.49%で20162016年は18.67%。

額面の「実収入」は1997年の59万5,214円に対し、2016年は52万8,103円。

このように実収入が目減りする一方で非消費支出の負担が膨らんだ結果、手取りは1997年の49万7,035円から2016年の42万9,517円へと、月7万円近い大幅な減少。

 

(2) 貯蓄なし世帯が30%以上に

総理府統計局全国家計調査(2人以上の勤労者世帯)を1997年と2016年とを比較すると;

お小遣いを含む「その他の消費支出」という項目は、1997年は94,543円で、その後、徐々に減少し2016年は61,533円と3万円近く減少。「衣服代」は20,264円から13,153円に減少。これらは、生活レベルを下げて我慢して生活していることを示している。

これらの結果、貯蓄にお金を回す余裕は減少し、金融広報中央委員会(The Central Council for Financial Services Information)の「家計の金融資産に関する世論調査」によると、1997年は10%だった「貯蓄なし世帯」は、アベノミクスが本格化した2013年以降、30%を超える水準で高止まりしている。

総理府統計局(2000年以降の1世帯当たりの収入(勤労者世帯のみ)及び支出金額など)はここ(日本語)。

金融広報中央委員会・2016年「家計の金融行動に関する世論調査」はここ(日本語)。

 

2. 妻の出産後に休暇を取得した男性は56%にとどまる:2017年版「少子化社会対策白書」

政府は2017年6月16日の閣議でことしの「少子化社会対策白書」を決定した。その中で妻の出産直後に休暇を取得した男性が全体の50%台半ばにとどまることが明らかになった。白書はこれを80%に引き上げる目標に向けて、職場の環境整備や妻との会話を促していく必要がある、としている。

妻の出産後2か月以内に休暇を取得したのは全体の55.9%だったのに対し、意向はあったが取得できなかったのが29.1%、意向もなく取得しなかったのが15.0%だった。また、休暇を取得したいと思ったきっかけを複数回答で尋ねたところ、「日頃の配偶者との会話」が59.1%と最も多く、次いで「配偶者からのリクエスト」が35.3%などとなった。

白書は、休暇を取得する男性の割合を平成32年に80%に引き上げる政府の目標に向け、出産などに付き添うための配偶者出産休暇制度や長時間労働の是正など、職場の環境整備に加え、休暇取得のきっかけとなる妻との会話などを促していく必要があると指摘している。

2017版少子化社会対策白書はここで(日本語)。

 

3. トヨタ自動車が期間従業員に正社員と同水準の特別休暇付与へ

トヨタ自動車は2017年6月20日、工場などで働く非正規の期間従業員を対象に、親族の弔事などの際に認める「特別休暇制度」を10月から導入する方針を固めた。

約3,300人(5月末時点)が対象で、正社員と同水準の休暇を取得できるようになる。

トヨタの特別休暇制度は、有給休暇とは別に、親族の弔事や配偶者の出産の際に給与の90%を支払う制度。対象は正社員やパート従業員で、期間従業員には認められていなかった。期間従業員は入社後半年間は有給休暇の取得も認められていないため、労働組合が待遇改善を求めていた。期間従業員に特別休暇を認めるのは珍しいという。

 

4. 仕事の範囲や給与など教員の働き方について年内にも緊急対策:松野博一文部科学大臣

教員の長時間労働が問題となる中、松野博一文部科学大臣は2017年6月22日、「働き方改革」の案をまとめるように諮問機関の中央教育審議会に求めた。教員の仕事の範囲や勤務時間の管理方法、給与の仕組み、仕事の効率化などについて議論してもらう。文部科学省は中央教育審議会の議論を踏まえ、年内にも緊急対策を打ち出す方針だ。

論点の一つは「どこまでが、教員が担うべき仕事か」ということだ。教員と事務職員やスクールカウンセラーとの間の役割分担、部活動における家庭や地域との協力のあり方などについて議論される。文部科学省の説明では、学校の清掃や部活の指導、家庭訪問を教員の役割としていない英国などと比べ、日本の教員は幅広い仕事を担っている。

仕事の特殊性を理由に残業代が原則として出ず、基本給の4%に相当する「教職調整額」を代わりに支払う教員の給与の仕組みも、検討対象になる。勤務時間管理の意識を薄れさせる一因と指摘されており、中央教育審議会委員からも廃止を求める声が上がった。一方、残業代を導入する場合は新たな財政負担や、勤務時間を管理する方法などが課題で、焦点の一つになりそうだ。

文科省が昨年実施した調査によると、小学校教諭の勤務時間は平均で平日1日あたり11時間15分、中学校教諭は平均で平日1日あたり11時間32分。小学教諭の3割、中学教諭の6割が「過労死ライン」を超えていた。

 

5. 最低賃金の議論始まる―上げ幅「3%」が焦点

今年度の最低賃金の引き上げ額を議論する厚生労働省中央最低賃金審議会の小委員会が2017年6月27日に始まった。昨年は安倍政権の意向に沿って、年率3%という過去最高の上げ幅が実現した。今年も引き続き、3%という上げ幅を確保できるかどうかが焦点になる。

連合と経団連のトップが参加した働き方改革実現会議が3月にまとめた「働き方改革実行計画」は、最低賃金を「年率3%程度をめど」に引き上げ、全国加重平均で時給1千円にするという目標を明記した。

賃上げで景気浮揚を狙う安倍政権の強い意向を受けて、昨年は最低賃金(時給)は全国加重平均で25円引き上げられ、823円になった。

今年の小委員会でも実行計画に沿って「3%上げ」を目指した議論が展開される見通し。7月末に引き上げ額の目安が決まる予定。各地の労働局長が都道府県別の金額を決め、10月をめどに改訂する。

第48回中央最低賃金審議会資料(2017年6月27日・日本語)はここ

 

6. 昨年度税収は55兆5,000億円で7年ぶり前年度下回る

2016年度の国の税収は、法人税収が伸び悩んだことから55兆5,000億円程度となり、前の年度を下回ることがわかった。

税収が前の年度を下回るのは、いわゆるリーマンショックの影響で景気が悪化した2009年度以来7年ぶり。

政府は昨年度の当初予算の段階では、一般会計の税収は好調な企業業績に支えられ前の年度より3兆円程度増加して57兆6,040億円になると見込んでいた。

しかし去年夏頃の円高の影響で法人税収の落ち込みが避けられないとして、2017年1月に成立した第3次補正予算では税収は当初の見込みより1兆7,440億円少ない55兆8,600億円にとどまると修正した。

さらに、来週にもまとめる決算では税収はさらに4,000億円程度減少して55兆5,000億円程度となり、前の年度を下回ることとなる。

 

7. 運送・建設業の長時間労働是正について8月頃までに方針

政府は、時間外労働の上限規制の適用が5年間猶予されることになった運送業と建設業の働き方改革を推進するための連絡会議を開き、長時間労働の是正に向けて、今年8月頃までに、当面の対応方針やガイドラインを取りまとめることを確認した。

ことし3月に策定された政府の「働き方改革実行計画」では、時間外労働の上限規制について、運送業と建設業では、法改正後5年間適用を猶予することが盛り込まれた。

こうしたなか、政府は6月29日、野上官房副長官や関係省庁の局長級が出席して、運送業と建設業の働き方改革を推進するための連絡会議を相次いで開いた。

このうち運送業関連の会議で、議長を務める野上官房副長官は「自動車運送事業の長時間労働の是正には荷主の協力を含めて、関係省庁による全政府的なバックアップが必要だ。制度の見直しなど可能なものは迅速に取り組みを開始してほしい」と述べた。

そして運送業の長時間労働を是正していくために、今年度に取り組む施策などを盛り込んだ「当面の対応方針」を、ことし8月頃に取りまとめることを確認。

また建設業については、時間外労働の上限規制の適用に向けて、週休2日を前提とした適正な工期設定を徹底するためのガイドラインを、ことし8月までに策定することを申し合わせた。

「建設業・自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」については以下(日本語)。

 

8. 5月全世帯の実質消費支出は前年比-0.1%で15カ月連続減:総務省

総務省が2017年6月30日に発表した5月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の消費支出は28万3,056円となり、前年に比べて実質で0.1%減少した。減少は15カ月連続で比較可能な2001年以降で最長となった。

実質消費支出の前年比マイナスは過去最長となったが、減少幅が縮小傾向にあることなどから、総務省は基調判断を「弱い状況ながら、回復の動きが見られる」に変更した。これまでは「弱い状況が続いている」としていた。

5月の勤労者世帯の実収入は1世帯当たり42万1,497円となり、前年比で実質1.7%減と3カ月連続で減少した。名目は同1.2%減だった。

家計調査(二人以上の世帯)2017年5月分速報は以下で(日本語)。


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