樟蔭学園が労働契約法に違反し講師を一斉に雇止め

「5年経てば無期」の法律義務への悪質な脱法行為

今日、多くの大学や高校で非常勤など有期契約の講師は重要な役割を担っている。その雇用安定のため、労働契約法第19条には「契約更新後は特段の理由なく更新拒否はされない」旨が定められている。また、同法第18条では、「就労5年経過後、本人が無期契約を希望すれば、使用者はこれに同意しなければならない」旨が謳われており、2018年4月1日以降、この「無期契約への転換」が具体化される。

すなわち、これまで有期契約であった労働者は、その期間が5年を超えれば「無期契約か契約更新かを自由に選択」でき、使用者はこの選択を拒否できないこととなったのである。そこで各事業所でも契約の無期転換が進み、同法第20条が定める正職員との格差是正も進んでいる。


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文部科学省から国立大学に2016年12月9日に文書が送付され調査と指導が

以下は、その一部の抜粋である。全文についてはここで。

「無期契約を避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇い止めすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいとは言えない。無期転換ルールを免れる目的で、雇い止めしているような事案を把握した場合は、都道府県労働局において啓発指導」

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樟蔭学園【在東大阪市 大学・高校等】が、無期逃れで「違法な雇止めと一時解雇」

ところが樟蔭学園は、上述の法施行と無期義務を十分認識しながら、それを守らない方針を決定し、各講師に対して就労5年満了直前の雇止めを一斉かつ突然に通告し始めた。しかも、その理事会決定は2017年4月に行なわれ、採用時にも契約更新時にも、何の説明も予告も皆無であった。

さらに悪質なことがある。「2017年度までに半年のレイオフに応じれば、2018年度の雇用も十分考慮する」というのである。「労働契約法第18条が無期契約への転換の条件としている『5年超勤続』を中断させれば、無期契約への転換の義務がなくなる」という稀な脱法手口である。そして、このレイオフは無給でもあり、講師は生活維持が困難となる。また外国人講師のVISAの更新も危うくなる。加えて、半年毎に次々と講師が解雇されるなら、まともな授業もおよそ不可能である。

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樟蔭学園が講師達に「一時解雇」通告文書を配布:団交で返答できず:でも開き直り

「学校法人樟蔭学園の新たな雇用方針に従って、『4つの学期【前期・後期】の間に、少なくとも1つについて、forced furlough(レイオフ一時解雇)を取る事』」が要求されており、「その場合は、2018年度の雇用の配慮ができます」とある。

これほど大胆かつ露骨な強制は他に例を見ない。そして、このレイオフに同意しなかった講師には、改めて2017年度末の雇止め通告が続いている。通報を次々受け取ったゼネラルユニオンは2017年5月17日に学園に対して緊急要求を提出し6月27日に団体交渉が持たれたが、学園本部側が席上、「非常勤講師の契約更新は3年単位?」などの回答をするなどの混乱ぶり(注:これについては学園本部側が後日撤回・謝罪)で、かつ、関連法、契約、就業規則などの質問にも、学園側は誰も答弁さえできなかった。

さらに、同年5月24日・6月5日・7月10日、同学園はゼネラルユニオンに対して、
「無期雇用契約を結ぶ予定はございません」
「外部の労組とは、学内で団交しない。次年度契約は団交議題にしない」
「就業規則や36時間外協定の届出も、外部の組合には、お伝えできません。」
などという呆れる回答を送付してきた。

ゼネラルユニオンには樟蔭支部があり組合員名も学園に通告しているが、未だ、全従業員宛てに周知すべき就業規則や36協定なども配布されていない。これでは、労働契約法のみならず労働基準法や労働組合法違反そのものであり、厚生労働省・文部科学省への通報や摘発は避けられない。

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学園の講師への説明で「樟蔭は法を守らないことを理事会で決定、と通告」の記録が発覚

以下はその記録からの抜粋である。

「『5年を越えたら、無期にしなければならない』という法律があります。ただ、5年か10年か、という点があるのですけど、今、法律の世界で。『原則5年』の中で、ウチ【樟蔭】の決め事として、理事会決定が『ウチの財務の状況とかを考えて、無期への転換は、どうしてもできない』になりました。理事会決定として、ウチは『5年期限』で考える、ということになりました。学園の方針として、5年の中での1,2,3,4年という契約の方を、方針として決めました。5年ルールは法律の世界ですが、それを受けて、4月の理事会で決めました。

他の大学さんでは、それぞれ、無期への転換を認める大学もあります。そういう所は、このシバリがなく、ずっとこういう契約が続くというのはあると思います。それは、学校それぞれが決めていく更新の世界の話です。

樟蔭では、契約書の中では5年というシバリは一切なく、1年任期とのみ書いています。『なぜ、今年の契約書の際に、説明してくれなかったのか?』については、正直いって、申し訳ない。」

【注:本稿上記の各調査記録は2017年7月10日までに樟蔭学園本部にも事実確認済】

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全国各校動向―ゼネラルユニオンの指摘で「労契法順守=雇止め撤回」が次々に

同志社では、一部でに無期逃れと紛らわしい実態があることをゼネラルユニオンから警告されたことを受け、2017年3月3日付で、理事長名で全校宛てに「労働契約法改正を理由とした契約終了は行なわない」との遵法指示書を配布した。さらに、大阪市立大学や浪商学園で、講師に一方的に「非更新・5年前で雇止め」と変更した雇用契約書に署名させた事件が発覚したが、これもゼネラルユニオンの抗議で、更新可能な元の契約書に戻された。

樟蔭学園のような計画的脱法工作を強行せんとする例は稀であるが、椙山女学園(愛知県)でも、労働契約法実行・無期契約への転換に合わせて、契約5年上限やクーリングオフを導入するなどの法違反が見受けられ、樟蔭学園ともども、争議や、厚生労働省・文部科学への通報が開始される可能性が高い。

2017年7月10日付、樟蔭学園からゼネラルユニオンへの回答書全文。


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