学校法人椙山女学園の法違反に関するゼネラルユニオンの調査報告書

文部科学省・厚生労働省御中

 

学校法人椙山女学園の労働基準法・労働契約法違反が続々発覚
無期雇用義務逃れを狙い「半年のレイオフ退職」を強要

名古屋市にある学校法人椙山女学園には1年毎更新の非常勤講師が約480名おり、椙山女学園大学を中心に同学校法人の授業の多くを担っている。こうした講師ら、有期契約雇用労働者の雇用安定のため、「有期契約の反復更新が5年を超えれば無期雇用へ転換」という改正労働契約法が2013年8月に制定されたが、その時から椙山女学園の脱法工作が開始された。その年に突然「非常勤講師就業規則」ができ、その中で「更新は5年以内」と理事会で決定された。

続いて、信じられないような露骨な違法行為が始まった。椙山女学園は「以降も継続して働きたかったら半年間退職しろ。そうすればその後にまた雇用する」という「レイオフ同意書」への同意を講師達に対して迫ったのだ。なぜ半年なのか? 上述の改正労働契約法では、有期契約の期間を計算する際に、契約と次の契約との間に「半年以上の空白期間」があればその空白期間以前の契約期間は「通算」の対象から除外され、「ゼロ」となることになっている。椙山女学園はここに眼をつけ、講師達から無期契約への転換の条件を奪うことを狙ったのだ。このレイオフ【一時解雇】のため、講師の生活は破壊され、授業への悪影響も大であった。

 

突然の半年退職強制で、椙山の授業もカリキュラムも混乱。講師の生活も危機的。

さらに椙山女学園は2017年4月に、「契約は更新しない」とした「労働条件通知書」を初めて各講師に配布し、「無期契約への転換義務は拒否。2017年度末で勤務5年の講師は全員雇い止め」と宣言した。

一方、2017年度の契約開始後の講師らにこの5月末突然、「2017年度後期のみ退職すれば、2018年度は雇用する」との、レイオフを一斉に迫り始めた。6月末には、「2018年度の雇用をセットにした6か月休暇【Six-month break】」の同意署名書まで配布された。
その手口はおよそ教育機関と思えないほどの悪質さであった。予め全員に「辞任願」が配布され、「無期契約を放棄すれば来期の雇用は保障する。だからこれに署名しろ」と、一人一人に迫った。この用紙には、各自の学部や職名や理事長や学部長の承認印欄までも印刷されていた。

また、「講師の意思で退職」と装うために、「辞任事由は、私事都合による」と手書きで記入させた。外国人講師達に至っては、これらの日本語文の翻訳もなしに、「私事都合」と、見本をなぞって、漢字で書かされた。

 

契約書さえない椙山女学園。違法行為だらけ。しかも、その計画的な隠ぺい工作は数えきれない

労働契約法第18条は使用者の「採用開始時から5年後の労働者からの無期雇用への転換申し入れの受け入れ義務」を定め、同法第19条は「過去に更新実績があれば、合理的な理由なしに更新を拒否できない」と定めている。さらに、厚生労働省や文部科学省は、無期逃れの脱法行為を禁止するため「雇用上限設定などでの無期回避は無効で違法」との通達を出し、監視指導を強めている。学校法人椙山女学園はこの禁止事項を破る、絵に描いたような違法法人となった。

また、椙山女学園のいう「就業規則・労働条件通知書・時間外労働36協定」の届出には、「選挙で全労働者の過半数以上で当選した従業員代表の署名や意見書添付」が法定要件であるが、これが不備であることも発覚した。所轄の労働基準監督署に届けられている従業員代表署名は不正なものであり、届けられている就業規則は法定の就業規則とはならず、条文の効力もない。

また驚くことに、「椙山の全教職員に法定の雇用契約書が存在しない」という不祥事も発覚した。雇用契約書が唯一法定効果をもつ合意のはずなのだが、椙山女学園では労働者の同意や署名のない一方通行辞令のような「委嘱状」しか存在しない。労働基準法では、対等合意の契約書は不可欠とされており、その条文についても、始業就業時間・休暇休日など、義務的記載事項も制定されている。だが、ここ椙山女学園の「委嘱状」にはこれらが何も記載されていない。

すなわち椙山女学園が、改正労働契約法施行後一方的にでっち上げた就業規則や通知書はすべて無効かつ違法であり、それどころか、これらすべてが同法からの脱法工作であることの動かぬ証拠ともなっている。

 

ゼネラルユニオンの警告に椙山女学園側代表も「指摘された事実確認はその通りです」と謝罪。が…?

ゼネラルユニオンは2017年7月26日に名古屋市で、椙山女学園との団体交渉を開催した。
そしてそこで、「非常勤就業規則・労働条件通知書・半年のレイオフが労働契約法の無期転換受入義務回避の対策であり、かつ、従業員代表選挙など法定手続もない。椙山女学園全体で法定の雇用契約が存在しない」、「2018年度以降の雇用保障の条件として、レイオフと一時辞職を迫った」との事実確認を行ない、労使の交渉委員全員で、事実と謝罪の確認が一致して行なわれた。

 

椙山女学園は、理事長判断で「非常勤講師を無期雇用とする環境にはない」との拒否回答に転換。

その後、上述の団体交渉での合意に基づいて、署名を強制させた本部通知や辞任願を謝罪とともに撤回・返却する作業が始まった。現在のところ、本年5月時点でも辞任願の強制は10数名、書かせたのは5名と報告されている。ところが今度は、謝罪したはずの幹部が「辞任願を撤回するなら2018年度雇用の保障も撤回だ」との報復宣言を行なっていることが発覚した。しかも、8月4日付の椙山女学園からの回答書でも、ゼネラルユニオンへの「お詫び」はあったものの、「更新の有無については、労働条件通知書の通りです」など開き直った挑発的珍回答が出されている。

ゼネラルユニオンはこれまで、団交合意の履行に基づく速やかかつ円滑な解決を椙山女学園に呼びかけてきたが、この8月4日付の回答によって、問題の長期化と紛糾とが不可避と判断し、この「椙山女学園法違反調査書と関係証拠」の関係省庁への報告や、椙山女学園全教職員への事実確認調査などを順次開始することとした。


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