無期転換逃れについての大阪労働局のコメント

以下は、改正労働契約法に基づく有期契約労働者の無期契約への転換に対して、これを拒もうとする動き(「無期転換逃れ」)についての大阪労働局のコメントの主な内容である。

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その要旨

(1) 無期転換の権利は有期雇用5年を超えたあらゆる有期契約労働者に発生するものであるから、経営者はこれを受け容れなければならない。

(2) 2018年4月を控えて、この無期転換を避けることを目的に雇い止めを行なうことは当然認められない。

(3) これを仮に強行しても、第19条の雇い止め法理に抵触するものとして無効となる。

(4) 突然契約期間の「上限」などを設定することは、労働条件の不利益変更であると同時に第19条の雇い止め法理に抵触する。

(5) 第18条第2項で触れられている「クーリング期間」というのは、契約と無契約とが短い周期で頻繁に繰り返されるような職種での、通算契約期間の事後的な確認のためのものなのであって、そもそも契約期間を「切断」するためのものではない。無期転換を妨害するための道具ではない。

(6) このような本来の趣旨から外れた「クーリング期間」の悪用は認められない。

(7) 契約の更新に関して、契約書の記載内容に関わりなく、実際に契約更新が一度でも行なわれれば、当然更新期待権は生まれ、契約書に記載されている「更新なし」の記述は無効化される。

(8) また、契約更新を期待させる言動が経営側からあれば、それも当然更新期待権を生む。

(9) 契約期間の上限にしろ、契約更新なしであれ、これらは労働条件の一部として募集・面接・採用・更新の最初から明示されていなければならない。

このコメントは、特定の個別企業に対してではなく、全ての企業に対する注意喚起、警告である。

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この労働局のコメントの対極をなす悪質事例:学校法人樟蔭学園

東大阪市にある学校法人樟蔭学園が、労働契約法を無視して同学園で働く非常勤講師を一斉に雇い止めしようとしている問題について、ゼネラルユニオンは同学園に対して法を遵守するように団体交渉などを通じて呼びかけてきた(この記事参照)。

だが同学園は、同学園に支部を持つゼネラルユニオンを「外部の組合(?)」と呼び、誠実な話し合いを通じて問題を解決する姿勢を示さない。

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樟蔭学園に関して、ゼネラルユニオンが指摘している主な問題点

1. 樟蔭学園の担当者が「2016年度の前期・後期、2017年度の前期・後期の4つの学期のうちのいずれかの期間に解雇(クーリング)に応じれば2018年度の雇用は配慮する。これに応じなければ2017年度末で雇い止めする」と非常勤契約者に迫っていること。

2. 樟蔭学園の担当者が「『有期契約で5年を超えたら無期契約にしなければならない』という法律があるが、樟蔭学園は理事会でこれには従わないことを決めた」と非常勤講師に公言していること。

3. 非常勤の契約は「上限5年」と理事会が決めたこと。

4. 非常勤講師の契約書には「任期は1年。契約更新はなし」と明記されているにも関わらず、実際には契約更新が広く繰り返されており、契約書と現実の乖離が日常化し、雇用契約自身が不明瞭な状態であること。

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労働局のコメントと樟蔭学園の問題点の比較対照

冒頭に紹介した労働局のコメントと上に紹介した樟蔭学園の言動とを比較対照してみれば、樟蔭学園の「無期逃れ」の違法性とその悪質さは誰の眼にも明らかである。

樟蔭学園は、ゼネラルユニオンや大阪労働局の指摘を受け容れて法に従うように方針を改めるのか、それとも依然「法律には従わない」との理事会決定を堅持するのか。決断が迫られている。

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これから

厚生労働省は、無期転換が始まるまで半年余りとなったことから、9月~10月に「無期転換ルール取組促進キャンペーン」の実施を始めた。

またゼネラルユニオンも同時期に対政府交渉を行なうことになっており、その中での中心課題の一つは当然この「無期転換」問題である。この席でゼネラルユニオンは、無期転換がスムーズに進んでいるところ、経営側の「無期転換逃れ」の方針によってこの問題が争議となる可能性があるところなど、現場の状況を文部科学省、厚生労働省に具体的に報告し、それに基づき、違法行為の取り締まりと法の適正な履行を求めることになる。

ゼネラルユニオンは、学校法人樟蔭学園を始めとする各法人に対して、労働契約法を始めとする関係法を遵守し、その趣旨にそって有期雇用労働者の雇用の安定と無期契約への転換への準備を円滑に、平和的に進めることを重ねて呼びかける。それが、各法人にとっても結局は最良の選択である。


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