学校法人椙山女学園との闘いを振り返る

2019年9月20日、愛知県にある学校法人椙山女学園とゼネラルユニオンとの闘いが一応の解決に至った。「一応の」と言うのは、組合員が2020年春から職場に復帰し、従ってここでの労使関係は継続し、我々が望むことではないが何らかの問題がまた起こる可能性が否定できないからである。
解決に当たって交わされた労働協約にあるように、椙山女学園はゼネラルユニオン組合員について「労働契約法、労働組合法をはじめとする関連法規を遵守しこれらの法規に従って適切に処遇する」と約束した。
問題の発端から2年以上を経ての一応の解決だった。

この件についてはゼネラルユニオンのホームページでも何度か取り上げている(「学校法人椙山女学園の法違反に関するゼネラルユニオンの調査報告書」「ゼネラルユニオンと椙山女学園との交渉の記録」「これでもまだ改めないのか:愛知・椙山女学園に愛知労働局が文書を手交」「ゼネラルユニオン、学校法人椙山女学園を大阪府労働委員会に提訴」等)ことを踏まえ、改めて経過を振り返って概括してみることとする。

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無期転換逃れの「クーリング強制」から闘いは始まった

継続して5年を超えて働く有期契約労働者に無期雇用契約への転換申込権を与える労働契約法第18条が施行される2018年4月1日を控えて、同女学園はこれを回避するために該当する非常勤講師にクーリング(一時解雇)を強制しようとした。日本語の書けない外国人教師には、「模範退職届」を下に敷いて、それをなぞって退職届を書かせようとした。
このやり口は組合の猛烈な抗議に曝され同女学園は撤回したが、その後無期雇用契約への転換申込権直前のゼネラルユニオン組合員全員に2018年3月末日での雇止めを通告し、団体交渉の席で組合がその違法性を指摘するとその法的正当性を主張するのではなく「トヨタも東大もやっている。何が悪い」と開き直る始末だった。

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愛知労働局が同女学園に当該雇止めの違法性の恐れを指摘する助言書を交付

この同女学園の悪態に対し、ゼネラルユニオン組合員は愛知労働局にその是正指導を要請した。愛知労働局はこの要請を受けて調査を行ない、2018年3月28日付で同女学園に対し、当該雇止めの違法性の恐れを指摘する助言書を交付した。
これで解決かとの希望も生まれた。

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同女学園の没論理的で執拗な抵抗

だがこの助言書交付から約100日後、同学園はゼネラルユニオンに奇妙な回答を寄せた。
「5名の組合員のうち4名については契約更新を認めるが1名については認めない」というものであった。
当然組合は同女学園に対し「なぜこの1名だけが雇止めなのか、具体的に理由を示せ」と求めた。後日渡された理由を述べた文書が嘘だらけであったために、当該組合員自身がその誤りを逐一指摘し、事実確認を求めた。
同女学園は「調査して後日その結果を報告する」と回答したがいつまで待っても回答は来ない。そこで組合が回答を促すと「組合は雇止めの撤回を求めているので調査結果を報告しても意味がないので報告しない」と前言を翻し、全く意味不明の回答を寄せた。
別の問題も発生した。こうした経過の中で、5名の組合員は全員が2018年度は就労できなかったので、組合は労働基準法第26条に基づき前年(2017年)の給与の6割以上の休業手当の支給を求めた。
同女学園はこれに同意したので、しばらく後で組合が具体的支給額を確認すると信じがたい回答が見たこともない計算方法とともに送られてきた。
それによれば、ある組合員は1年分の休業手当が10万円以下で、その他の組合員についても同様であった。
組合はこれに対して、法に基づく具体的計算方法を添えて再計算を求めた。
その後この休業補償の同女学園からの提示は「解決金」という名前で「一括100万円」、その後「一括200万円」と変化してゆくことになる。

また、契約が更新され無期雇用契約に転換した組合員に対しても、労働契約法にある「労働条件の不利益変更なしでの転換」との規定は無視され、1名を除く全組合員がコマ数を削減され、ある組合員に至っては「無期契約・コマなし・無給」という誰もが驚く処遇が示された。

同女学園は法も論理もお構いなしで執拗に抵抗を続けたのである。

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団体交渉拒否から労働委員会へ

全てについて説明に窮した同女学園はついに「結論はあらかじめ決まっているから交渉は無意味」と団体交渉拒否を公言するに至り、ゼネラルユニオンは一連の経過について不当労働行為として大阪府労働委員会に救済申立てを行なった。2019年2月4日のことである。

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和解へ

大阪府労働委員会での調査が始まって間もなく、同女学園代理人との和解に向けた交渉が始められた。
交渉は断続的に数か月に及んだが、同女学園代理人の努力もあり、組合側は労働協約を何とか受け入ることができるものとして締結し、労働委員会への救済申立てを取下げ、一応の解決に至った。

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当初の「全員雇止め」から協約にある「1名職場復帰・解決金700万円・法遵守の確認」まで、2年以上の闘いの歩みは以上のようなものであった。
組合の当初の要求は全面的には実現されなかった。しかし、法さえ「気にしない」この椙山女学園の当初の計画を大きく挫折させ労働者の権利を守ったこともまた事実である。

もし椙山女学園に労働組合がなかったら、個々の労働者がこんな体質の同女学園に何かできただろうかと考えると、その答えは「否」である。
法的に、道徳的に正しく、かつその正しいことに雇用主を従わせる(例えいやいやながらでも)力と策を労働者は持たねばならない。それは「労働組合」という道具以外にはない。

今回の椙山女学園での闘いの最大の教訓は「労働組合を!」の一言に尽きる。


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