「無期転換逃れ」との闘いは会社の法違反全般を点検・是正するいい機会

2018年4月1日から具体化が始まる、改正労働契約法に基づく有期契約労働者の無期契約への転換については、ゼネラルユニオンはこれまで、これらから逃れようとする会社・組織との闘いの報告、闘いの糧となる関係法や資料の紹介や解説などを記事として取り上げてきた。

「雇用の安定=無期雇用への転換と文科省からの2通のメール」

「無期契約への転換逃れの悪知恵は破砕できる」

「同志社、「無期転換」についての威嚇を撤回」

「樟蔭学園が労働契約法に違反し講師を一斉に雇止め」

などがその一部である。

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副産物?

無期転換から逃れようとする会社は、この脱法行為を正当化しようとしてそれぞれあれこれの「説明(言い訳)」をわれわれに告げてくる。われわれが経験した限りではその言い分は、「これは法律を承知した上での計画的な脱法行為だ」と思えるものか、あるいは、「この会社はそもそも法律を知っているのか」との疑いを禁じ得ないか、のいずれかである。

このように、いずれの場合であれこの脱法行為はそれぞれの会社の「法律への態度」への疑念を我々の中に生じさせた。

だから当然我々は、「ところであなたの会社は、まず就業規則や残業についてちゃんと法律に従っていますか?」と問いかけた。ところが、「無期転換逃れ」を試みている会社のほとんどは、就業規則についても残業についても、法を無視しているのが実態であった。つまり、脱法行為、違法行為は何も「無期転換」に限ったことではないことが露呈したのである。

そして、そもそも法律自身について無知あるいは無理解であったと思われるところは概ね、われわれの説明を聞いて是正を約束し実施することになった。だが一方、計画的な脱法行為を試みている会社は、これら就業規則や残業についても呆れるような「理屈」を述べて開き直っている。上に紹介した樟蔭学園などはその典型である。ぜひ読み返して頂きたい。こうしたところは自ら傷口を広げ世間の評価を貶めていることに気づいていないかのようなのである。

 

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法は何を定めているのか

以下、就業規則と残業について、法律は何を定めているかを簡潔に確認しよう。

1. 就業規則について

就業規則とは、労働者が仕事の時に守らねばならない規律や労働条件の具体的な内容について労働基準法に基づいて定められた規則である。

そして、労働基準法第89条で、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とされており、また、いくつかの重要な項目についても「次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする」としている。

就業規則は会社が勝手に作って届け出をすることはできない。

労働基準法第90条は、「第1項 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

第2項 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない」と定めている。

管轄の労働基準監督署に就業規則を届け出るにあたっては、労働者の過半数を代表する者の意見が添付されなければならない(通常「就業規則意見書」と呼ばれる)。とりわけ、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、全労働者が参加してその過半数を代表する者を選ぶ手続きが必要となる。

更に、労働基準法第106条は「法令等の周知義務」として「使用者は、(中略)就業規則(中略)を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない」と述べている。

要点は以下である。

・使用者は、就業規則を作成あるいは法で定めるその中の重要な項目を変更した場合には、労働者の過半数を代表する者の意見を添えて管轄の労働基準監督署に届け出なければならない。

・使用者は、就業規則を労働者がいつでも見れるようにしておくなど、労働者に就業規則を周知徹底しなければならない。

だから、以下を確認あるいは会社に求めよう。労働者は誰もが自分の会社にこれらを求める権利を持っている。

・就業規則は労働者がいつでも見れるようにしておくこと。

・就業規則意見書は、いつ、どうやって選ばれた誰が、どんな内容を述べたものか。

 

2. 残業について

「時間外労働」とは「労働基準法で定められた労働時間(原則1日8時間、1週40時間)を超えて行われた労働」を指している。

労働基準法第36条は「時間外及び休日の労働」と題して、以下のように謳っている。「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては(中略)、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。」

残業は上に述べた手続きを経ることによって―つまり、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合」にのみ―法が認めるものとなる。

ということは、会社と労働者の過半数を代表する者との書面による協定が管轄の労働基準監督署に提出されなければならないことを意味する。とりわけ、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、全労働者が参加してその過半数を代表する者を選ぶ手続きが必要となる。それは具体的には多くの場合、全労働者による選挙である。労働者の雇用形態を問わずに、である。

だから、労働者の過半数を組織する労働組合がなく残業が行なわれている会社で働く労働者(雇用形態を問わず)が「時間外労働のための労働者代表選挙など聞いたこともない」ということであれば、その会社は、法が求める必要な手続きを取らないままに、つまり違法に、労働者に残業をやらせている、可能性が高いということになる。

従って、以下を会社に求めよう。これについても、労働者は誰もが自分の会社にこれらを求める権利を持っている。
・「残業についての労使協定(通称36(サブロク)協定)」は具体的にいつ、誰と誰との間で結ばれたのか。
・(労働者の過半数を組織する労働組合がない場合)全労働者の代表の選出は具体的にいつ、どうやって選ばれたのか。選挙の場合、その結果の詳細は。

 

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われわれのこの期間の「無期転換逃れ」の脱法行為を図る会社との闘いは、その過程でこうした会社がこの「無期転換」の問題に限らず、述べたような就業規則や36協定に関しても法からの逸脱を当たり前のように行っていることを暴くことになった。このことは、きっとこうした法からの逸脱は更に無期転換、就業規則や36協定に限ったことではないことをうかがわせる。

2018年4月1日から具体化の時期に入る改正労働契約法第18条もそうだが、労働者の労働条件を向上させ雇用をより安定化させることに役立つ法律はいろいろと存在する。だが、そのことは、該当する法律を所管する官庁が、労働者が何もしなくてもせっせとその法律を現場で活用して労働者を助けてくれるということではない。これもまた、われわれの経験が痛烈かつ具体的に物語ることである。

法律は、「われわれが使う」ことによってのみわれわれの力になる。飾って眺めているだけでは無意味なのである。

日を追う毎に2018年4月1日は近づき、無期転換逃れの脱法行為との闘いの激化は避けられない。われわれはこの闘いを「職場の法律違反大掃除」としても取り組むことによって、更に陣営を拡大し、一層有利に展開するだろう。

ご相談などはゼネラルユニオンまで。


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