日本郵便・労契法20条格差是正訴訟の判決に寄せて

2017年9月14日、東京地方裁判所で注目すべき裁判の判決が言い渡された。

日本郵便で働く3名の非正規労働者は「正規労働者と同じ仕事をしているにも関わらず、これらの正規労働者との処遇に各方面で格差があるのは、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を謳っている労働契約法第20条違反である」として日本郵便を訴え、同一処遇を求めた。そして、労働諸条件の格差の「不合理性」の判断においては、政府が2016年12月20日に発表した「同一労働同一賃金ガイドライン案」を考慮して行なわれるべきとした。

 

 

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判決は、原告が求めた10項目の格差是正についてそのうちの4項目について格差の不合理性を認め、6項目については「格差は不合理ではない」とした。そして「同一労働同一賃金ガイドライン案」については、「まだ法律ではないから」という趣旨で「考慮の必要ない」とした。

この判決については原告と被告との双方が控訴し、東京高等裁判所において審議が行なわれることになる。

 

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労働契約法第20条に基づいて非正規労働者が正規労働者との間にある格差の是正を求める裁判はこれまでにも行なわれている。

その結果はこれまでのところ、訴えが一部のみ認められるか全面的に退けられるかである。
司法の場においては、労働契約法第20条が力を全面的に発揮するには厚い壁があると言わねばならない。

今回の判決を具体的に見てみよう。

基本的な格差を認めなかったり差をつけたりの判決ではあるが、「年末年始勤務手当、住宅手当、夏期・冬期休暇を支給しないのは違法。また、病気休暇が無給であることは違法」と認定した。そしてこれらを違法とした理由について判決は、「格差の存在が即不合理だとは言えないが、非正規労働者には全く支給しない、完全無給というのは不合理」とした。

これは各労働組合が会社への要求として掲げてその実現を迫る上で大いに活用できるものであり、また、同様の課題を抱えている労働組合がより積極的に要求として掲げる契機にできる。

非正規労働者や労組からの各企業への一斉要求で今回の判決のこうした点を活用し、格差をなくす大きなステップにしていくことを我々は呼びかける。。

 

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労働契約法第20条を改めて確認しておこう。

「(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」

また厚生労働省はこの条文制定の目的について以下のように述べている。

「有期労働者については、無期労働者と比較して、雇止めの不安があることによって合理的な労働条件の決定が行なわれにくいことや、処遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ、法律上明確化することとした。」

 

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読んでの如く、格差が合理的か不合理かを判断する基準あるいはその基準の基礎となる考え方が明確に示されているわけではない。条文には「職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して」とされているのみである。厚生労働省の文章は、目指すべき理想の姿が述べられているわけではない、例えば「同一労働同一賃金」のような。

 

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こうした実際が私達に示唆していることがある。

それは、正規と非正規との格差の解消を目指す労働組合の、職場や社会での活動が格別に重要だ、ということである。

「Let's 同等」が職場での活動を通じて労働現場で労使間の合意として形成され、こうした職場が増え、それを背景に「同等が当たり前」という世論が一層拡大してゆく時、こうした世論は裁判にも影響を及ぼすだろう。

裁判の結果が運動に影響を与えるのは事実である。しかし長期的・根本的には、運動とこれが作り出す世論こそ裁判の結果にさえ影響を与える。

我々の「Let's 同等」を目指す闘いは続く。

この裁判を闘っている郵政ユニオンと弁護団は「日本の非正規労働者の未来に希望を灯す大きな意義のある画期的な判決」との共同声明(声明全文)を発表した。

今回の判決では、訴えは全面的には認められなかった。格差是正をめざす闘いは今なおその途上にある。この判決は闘いをまた一歩前に進め、、司法の場での厚い壁に将来風穴を開けるための貴重な一歩を記したものであることは疑いない。


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