労働組合は「安い費用で雇える弁護士」ではない

日本の労働組合は、他の国の労働組合が持たない多くの権利を持っている。例えば、職場にいる組合員の数に関わりなく団体交渉を要求できる権利を持っていることもその一つである。

例え職場に組合員が一人しかない場合であっても、経営者は労働組合の交渉の要求を拒むことができないのだ。

交渉する権利を得るだけのために闘う必要はなしに、個人あるいは少人数の問題についても、組合はこの人々を代表して振る舞うことができる。

このことはしばしば我々にとっては助けとなる。一方で、労働組合を単に無料の相談役、公共サービス、あるいは安い費用で雇える弁護士のように使いたいと思う人達にも、我々は時々遭遇することになる。

こうした事例は減少の一途であるし、我々もこうしたことが起こらないように、「労働組合とは何か」、「労働組合は何をやるのか」、「労働組合はどのように運営されているか」などについての教育活動を行なう。だがそれでもまだ起こることがある……。

以下に紹介するのは、私立の中学校と高校に派遣されていた3名のベルリッツの教師のケースである。

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ベルリッツの4名の教師から組合に連絡があった。もう4年間賃上げはないのでそれを実現するために助力が欲しい、とのことだった。

おわかりのように、これはゼネラルユニオンがしばしば対応する数多くの飛び込み型の「問題解決の相談」ではなかった。

職場の労働条件の改善のために組合に加入したい、という労働者のグループからの相談であった。

言うまでもなくこれは、「即時解決」となるような課題ではなかった。時間とお金と計画が、つまり、他の人々の問題の解決に注ぎ込む予定の「力」をこちらに差し向けることが必要な課題だった。

結果から言えば、ゼネラルユニオンはこのベルリッツの教師達が望んでいた賃上げを勝ち取ることができた。

2名の組合員はそれまで長い期間賃上げゼロであったが月額24,000円の賃上げを得て、あとの2名も月額約10,000円の賃上げを得た。

そして同時に、これらの組合員の年間ボーナスも大幅に増額となったのである。

これは、ゼネラルユニオンが実現した最大の賃上げであり大きな成果だった。

多くの組合員達がこの組合の勝利に誇りを覚えた。こうした勝利の積み重ねは、他の組合員や他の会社でのそれから先の賃上げの実現に弾みをつけ後押しするからである。

この教師グループは更に同僚達を組合に組織し、労働条件の改善を実現するべく前進する、と話は進めば良かったのだが、そうはならなかったのである……。

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異変は組合費納入の遅れから始まった。そしてこの4名の教師全員が組合費チェックオフ同意書へのサインを求めるメールを無視したのだ。このチェックオフは、組合費を給与から天引きするもので、組合と会社との厳しい交渉を経て合意に達したものであった。

2016年10月、ベルリッツとの交渉は組合の勝利で終わったのだが、これら4名のチェックオフは停止となった。

2017年4月になって、このベルリッツ教師グループの一人から連絡があり、2016年10月から組合費を払っていない3名は、ベルリッツとの交渉に結果が出たことで組合から受け取れる「サービス」は終わったと判断した、ということであった。

実際、この教師達はもう組合には全く関心を持ってはいなかった(4番目の人物は既に仕事を辞め、語学業界とは別の業界に転職していたが、ベルリッツを辞めた3月までの組合費は払っていた)。

彼等は厚顔無恥にも我々に直接、「ゼネラルユニオンを一貫して『安い弁護士』のように使うつもりだった」と述べたのだ。

当然組合は、ベルリッツとの間で結んだ合意を即刻破棄したが、ベルリッツは賃上げとボーナス増額は破棄しないと決めた。

こうした結果、これらベルリッツの教師達は欲しかったものはチャッカリと獲得し、「誰にも迷惑はかけていない」として自己正当化をはかったのである。

こうした理屈の何が問題か。これは全く間違った理屈である。

これらベルリッツの教師達の行動と態度とは、ゼネラルユニオン組合員全員を傷付け利用した。

ピケを張り、解雇され、組合活動の意味を訴え続け、ストライキを闘い、同じ組合員達を支援し、コツコツと組合費を払っている全ての組合員を傷付けた。

ピケ破りと何ら変わることはない。

組合の力を浪費し、組合を弱めた。

組合員の中には意志が弱くお金で片付けることができる者がいる、ということを経営者に見せることで組合を弱めた。

組合員の中には「組合が都合よく使える限りで組合にいよう」と考える者もいると考えて経営者が交渉に臨むことを許すことで組合を弱めた。

では、我々は労働組合として、問題を抱えて我々の事務所の扉を叩く人達を拒むだろうか?

我々は労働組合として、支援を求める人達に、支援を行なう前に何か月かは組合員であることを求めるだろうか?

いずれも答は「否」である。

我々は、これまでずっとやってきたように、これからも全力で活動を続ける。

そうしなければ、スト破りの輩の跳梁跋扈を許すだけだから。


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