湾岸戦争を理由にグアム政府観光局が日本人職員を解雇

イラク湾岸戦争のまっただ中、グアム政府観光局は大阪・東京事務所の日本人女性2名を解雇した。戦争による観光客減の影響と推察されるが、指名解雇理由の明示もない突然の発表であった。そこで、以前にフラン勝利経験を持つゼネラルユニオンが登場。今度はアメリカ政府―グアム政府を相手に原職復帰の要求で団交応諾を求めた。

グアムはアメリカの準州と言われているが、法体系は返還前の沖縄に似た植民地状態である。すると解雇された日本人労働者は外国の公務員かもしれず、日本の労働法は適用されない可能性がある。年休はグアム法通り「月1日」であるが、日本の雇用保険は加入しているというし、よくわからない。

 

しかし、グアム政府代表と日本経団連の経営法曹弁護士まで来阪のうえ、ゼネラルユニオンとの団交のテーブルに着いたのだ。こうなれば組合ペースだ。
「1年有期でも、既に無期契約に転化しているが、正当な解雇理由がない」、「9・11以降、観光客は減っていたのになぜ大阪事務所はその後広く家賃の高い場所に移転したのか。どうしてその後にリストラするのか?」と一貫性のなさを追及すると、「その間にグアム知事が民主党から共和党に変わったからだ」と答弁する始末だった。

 

5月、グアム現地の政府顧問弁護士からの回答書がゼネラルユニオン宛に届いた。それによると、「政府はこれら職員を雇用していない」とし、「日本サイドの雇用なので日本労働法が適用される」としていた。これは治外法権を自ら否定し、労組の攻勢に無防備な見解となった。そしてその後段には、「日本の労働法をグアムで分析した結果」として、笑わずにはおられない誤解が列記されていた。

「日本の労基法では、30日前に予告すれば、理由の有無にかかわらず解雇できる。就業規則は大きい事業所に義務付けられており、9人以下の会社では従業員扱いしなくていい」といった具合だ。これには日本の経営法曹弁護士も仰天し、「なぜそんな不用意な文書をゼネラルユニオンに送ったのだ」とカンカン。そして使用者側弁護士にしては珍しく「解雇には理由が必要だ。整理解雇には4要件が必要だ」との緊急の提言をグアム政府に送った。もちろんゼネラルユニオンもグアム政府宛に日本労働法を親切に解説した。もちろん、全面的な勝利和解をかちとることができたのは言うまでもない。