阪神大震災での雇用確保で全港湾神戸港支部を訪問

阪神大震災が起きてから半年近くが過ぎ、関西以外のマスコミの報道も少なくなってきた。しかし、雇用・住宅・健康問題など深刻さはますます増している。避難所での厳しい生活に耐えながら、神戸港の復興と雇用確保で奮闘する全港湾神戸支部の職場を訪ねた。

全港湾労組神戸支部は、神戸港の中突堤にある。有名な観光地で、市民にもお馴染みのメリケン波止場の関西汽船乗り場の古いビルの2階にある。液状化現象の多く発生した人工島沿岸の被害は、顕著であるが、昔からの神戸港域の各突堤も地割れがひどく、護岸は海中にズリ落ちている所が多い。震災直後から、外国語情報を流し続けた「KiSSlFM」放送局やポートタワー周辺も、バキバキ状態である。「日雇いセンター雇用」の全港湾弁天浜支部のある「港湾労働者福祉センター」前の謹岸も崩れ、ヒタヒタと海水が浸食するなど、ちょっと怖いぐらいだ。

そんな中に事務所と拠点を置き、全港湾労組は、震災復興と雇用確保で日夜奮闘している。ポートアイランド・六甲アイランド・摩耶埠頭などの、外国貿易バースだけみても、126うち、3月中旬に復旧したのは、85バース。コンテナ積下ろし用のガントリークレーンは、55あるうち、使用可能は4月末で14基。6月末でプラス7(予定)でしかない。「バース使用料が9月末まで3割引?」政策や、通関業務の迅速化などもあり、外国船の寄港も徐々に回復してきているようだ。しかし大型クレーンの損傷が大きく、すぐには復旧できないこともあって、船上クレーンなどによる作業にも頼らざるをえない。耐震岸壁が、今回威力を発揮したため、今後これらを充実することになっている。一方「復旧の目玉」は、この10月に六甲アイランド南東部にできる「仮設桟橋埠頭」らしい。「仮設」をこれから着工とは、いかにももどかしい。

他港にシフトした荷物が、神戸港の戻る本格的な復興には3年かかると言われ、最近では、2年と言い直されている。だが既に、名古屋・横浜・舞鶴・釜山港などに、流通経路が、緊急避難的に変更されてきている。問題は、それが神戸に帰ってくるかどうか、だ。そのために「安全、かつ便利な港湾」を、迅速に作りあげねばならない。「復旧より復興、しかし、時間との競争。他港との競争」それが厳しい神戸港の現実かもしれない。
震災以降、陸路のアクセスが不十分であったため、横浜へ上がった荷物は、西日本に行けなかった。そのため関門港に行ったケースもあり、神戸の商圏や後背地も、刻々流動化せざるをえない。そんな折、兵庫県港湾協会と、神戸港湾労働組合協議会などは、8月末までの暫定措置として昼夜2交代と日祝日荷役の覚書を交わした。笹山・神戸市長は「これで積荷は戻る」とマスコミで、この合意をべ夕ほめ。戸恒・神戸税関長も「24時間、眠らないハブ港になって、釜山・高雄に対抗できる」と、まるで、新関西空港と同じような論陣をはっている。
港湾労働者はこんなシワ寄せを、あえて受けとめつつ、緊急かつ根本的雇用政策の実行を要求しているのである。数年後、神戸港に積荷が戻ってくるとしても、それは「独占資本¬=全国大手企業だけができる選択」である。神戸にしか事業所がない中小の港湾荷役-倉庫業者は、耐えきれず、倒れていく。そして、そこで働く港湾労働は「復興」までどうやって仕事を確保し、生活を守っていけばいいのか?開発優先の夢からまだ覚めず、真剣な雇用対策ができない行政はもういらない。港湾労働者は怒り、苦闘している。