遠藤五輪相への献金も発覚 交渉中の派遣会社さらに追及へ

小中高校などで英語の授業を補助する外国語指導助手(AET)の派遣会社・インタラック社側から、遠藤利明五輪担当相が955万円 の疑惑の献金を受けていたことが毎日新聞のスクープで発覚した。インタラック社の偽装委託、社会保険未加入をかねてから追及し、マスコミ取材や民主党予算委チームの調査にも協力している山原克二・本誌共同代表が、疑惑の深層を緊急レポートする。

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英語教諭は教員免許が要るため、外国人は「外国語指導助手(AET)」として、教諭とのティームティーチング (TT)のみが合法とされてきた。だが外国人雇用に慣れず、無責任な教育委員会は、安価な入札で語学業者からの派遣に丸投げしてきた。
今回、創業者による遠藤五輪担 当大臣への不正献金疑惑が浮上したインタラック社は、この教委派遣の最大手だが、かねてからトラ プルメーカーでもあった。
多国籍労組であるゼネラルユニオンには、「研修もなく、教壇に立たされた」、「健保がない。労働時間 が不明」、「入札結果でクビ。私は、どこの従業員?」などの相談が多数寄せられてきた。
そこで、労組として摘発と対政 府要求を行ない、労働局が大阪府 下全教委の一斉調査をしたところ、23市教委が、違法な「業者への委託=請負」であることが判明した。このため厚労・文科両省は、2009年8月「直接雇用が望ま しい。業者委託は不可能」との「通知」を、各県労働局と教委に発出した。
インタラック社は、「AETとの打合せは、教室で話さず、インタラック支社を介した電話で」などと、派遣法や労基法をよく知らない教委に脱法の手口を指南する。 だが、学校の混乱は収まらず各地の労働局からの摘発も続いたことから、業績も悪化していった。

偽装委託容認の裏に

献金が行われたのは、その渦中の2010~2014年。会社や創業者から政治献金・パーティー券の名目で、自民党文教族の遠藤利明大臣に約1,000万円が渡った。遠藤氏の秘書は2013~2014年に何回も、会社と同席し、遠藤事務所で厚労省官僚と面会している。
そうした経過を経て、2014年8月、 両省からの新通知が出された。「負が進むことが想定される」「契約に明記すれば、授業内容の確認や実演は、直ちに違法とまで判断しない」という内容で、2009年通知からの大きな変更であった。国庫による助成を、直接雇用だけではなく、派遣や委託(全国60%がインダラック)にまで拡大する政府方針さえ出された。
2016年2月、こうした方針転換の背景に、派遣業者側から大臣への不正献金と両省への働きかけがあったのではないかと、毎日新聞が報道を開始した。直接雇用の はずの大阪市が「講師募集―採用請委託?」の入札を強行し、インタラックに1億余支払った、という職安法違反も発覚した。
遠藤大臣は献金の事実は認めつつも、「創業者や会社から支援を求められたことはなく、創業者の利 益のため文科省に働きかけたことは一切ない」などと打ち消しに躍起だが、国会内外で追及がつづい ている。

社保逃れに会社分割

このインタラック社は、ゼネラルユニオンから何度も訴えられ、 敗北してきた。また「常用労働時間の4分の3(30時間?)という 旧社保庁内かん(目安)」を悪用し、週29.5時間で雇用し、社会保険に加入できなくしている。そして「内かんは違法」としてゼネラルユニオンが国を訴えた事件で、東京地裁は2013年3月「労働時間の加入基準はない」とし、さらに「インタラックと教委は、学校で40時間、時間外就労させ、29.5時間 は虚偽。保険拒否は違法」と認定、 国の敗訴が確定した。
一方、国会で成立済みの「社会 保険新加入基準=従業員501人以上・週20時間以上」の施行期限が2016年9月に迫っており、インタラッ ク社の抵抗は限界となった。そんな1月、インタラック社は7社への分社化を強行し、各社を501人未満にした。また年度途中の新法人化は契約違反であるが、教委との再契約もしていない。こんな絵に描いたような脱法がOKなら、他社も悪質な保険料負担逃れに追従す るだろう。
ゼネラルユニオンと全国一般全 国協、外国人総行動は、3月5日 に、文科省・厚労省に労組によ る最新の教委調査を根拠に「派遣・委託労働者の派遣先直接雇用化・ 非正規の社会保険加入」など、強力な対政府交渉を展開し、汚職に よる違法派遣隠しを断罪していく。また、3月17日の春闘大阪総行動では、橋下~吉村市長の違法行為に抗議した市役所前集会を予定している。