2022/7/20 東京高裁:「10年特例」濫用による無期転換回避を拒む判決

2022年7月20日、東京高等裁判所は、専修大学の非常勤講師の「5年超勤務に基づく無期転換」を認めた2021年12月16日の東京地方裁判所の判決を支持する判断を示した。

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事件の概要

この裁判は、概略以下のような内容である。

  1. 専修大学でドイツ語を教えている非常勤講師が継続勤務が5年を超えたことから労働契約法第18条に基づく無期雇用契約への転換を申し込んだ。
  2. 大学はこの申し込みに対して、「同非常勤講師は研究者としての経歴を持っているので「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」(その後「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」に改称)に基づく『10年特例』の対象となり継続勤務が10年を超えないと無期転換はできない」としてその受理を拒否した。
  3. 同非常勤講師はこの大学の対応を「無期転換権の侵害」として東京地方裁判所に地位確認を求める訴訟を起こした。

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裁判所の判断

2021年12月16日、東京地方裁判所は「職務として研究を行なっていない者を『研究者』とみなすことはできない」として原告の訴えを認め、「5年超勤務に基づく無期転換」を認めた(東京地方裁判所判決は以下で)。

https://generalunion-my.sharepoint.com/:b:/g/personal/tesolat_generalunion_onmicrosoft_com/EQn7jdjVecxPtfErTkWe2bEB-KvKA3Xcg2fH_jodh5-8XA?e=6uUo3x

専修大学はこれを不服として即刻東京高等裁判所に控訴した。

そして2022年7月20日、東京高等裁判所は上記東京地方裁判所の判決を支持する判断を示した。

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判決の影響

「職務として研究を行なっていない者を『研究者』とみなすことはできない」という明快な判断を裁判所が重ねて示したことは大きな意味を持つと思われる。

「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」を根拠として「10年特例」を使い、労働契約法第18条に基づく無期転換を回避しようとしている大学には大きな打撃となるだろう。

この判決の意義はこれに留まらない。東京地方裁判所の判決はその中で、「大学の教員等の任期に関する法律」(任期法)に基づく「10年特例」についても述べており、適用に関する対象や手続きが厳格に定められなければならないとしている。

従って今回の判決は各地の大学が行なっている「10年特例」の濫用による無期転換回避に大きな打撃ちなる。これに反対し無期転換の推進を図ってきたわれわれにとっては有利な状況が生まれた。

この有利な状況をどれ程活用できるかは、ひとえにわれわれ自身の努力にかかっている。

 


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