労働組合法

組合作り・不当労働行為

「日米英語学院での組合づくりの教訓」

個人の労働相談を解決する方法は,組合作りにある.職場で仲間を募り,支部をどう作るかにかかっている.日米英語学院では,93年に天王寺校で最初の組合加盟があり,97年に梅田校を中心に28人が組合員になり支部を結成した.日本人の女性スタッフも加入するなど,ほぼ全従業員が加盟のケースであった.支部正式結成までに数度の会議をやり,次第に組合員が増えた.要求は,それまでなかった法定の年休の実現が中心であった.結局,組合結成通知書と要求書を提出した.

 

梅田本校で社長,副社長に直接に組合結成を伝えたら,さっそく,日本人スタッフに対して嫌がらせが始まった.副社長からゼネラルユニオンに対する中傷もあった.「組合は良いがゼネラルユニオンはだめだ.ゼネラルユニオンはヤクザやホームレスのような組織である.組合に入ったら今後昇進がない」等々である.当初は脱退や退職が続き,組合つぶしは成功したかにみえた.が,組合員の固い団結と,ゼネラルユニオンの総力をあげた支援で,大争議となり,99年に原職復帰・補償など,会社の完全な敗北で解決した.

労働3権【団結権・団交権・争議権】と,組合加盟・結成

日本の憲法28条には労働三権が明記され,組合を作ったり,加入する権利はその中心で,労組法で保護が具体的に制定されている.だがそれでも,労働者は「組合に入っても安全かどうか.会社の力の方が大きいのではないか」と思ってしまうケースがある.そこでこれらの法律・権利を絵に描いた餅に終わらせないよう,労組法上の資格を持つゼネラルユニオンとして,労働法・社会保険各法などの活用や,アクションが全面的に開始される.

不当労働行為【労組法第7条】

不当労働行為は,使用者が労組や労組員に行なってはならない違法行為です.「差別・不利益取り扱い・報復・賃金カット・威圧・中傷」だとか.「団交拒否,不誠実交渉」などがこれにあたる.「会社による支配介入」は,管理職による労組や役員への誹謗,労組の運営や方針への干渉などで,最も警戒すべき陰湿かつ巧妙な労組法違反である.

不当労働行為があっという情報に接したら,直ちに調査し,証拠や記録【文書・写真・Email・テープ・タイムカードなど】を保全する.そして組合は使用者に強い抗議を行なう.そこで会社が反省・謝罪したら,その責任と再発防止の記録を残し,解決する場合もある.しかし確信犯ともいうべき悪質な場合は,否認-無視してくるから,労働委員会に[不当労働行為救済申立]をせざるをえない.ここは各府県ごとにある,労組法の番人のような行政機関である.【労基署は労基法の番人であり,各地域にある】

労働委員会は,公労使による3者構成の委員による裁判のような形でやる.申立書を書いて提出.調査と審問が行われ,書証や証人などを出し合い,労働委員会が「解雇を撤回せよ.労組に謝罪せよ」とかの命令を下す.一方,期間が相当かかることもあって,調査や審理の途中で,労働委員会が「和解」を勧告し,解決に至る場合も多い【全体の60〜70%】

しかし労働委員会に手間がかかるとしても,ウソつきの会社側管理職が反対尋問時に,傍聴の組合員の前でボロボロになったり,書証から会社の内部機構や手口が明らかになるなど,メリットは大きい.また,ゼネラルユニオンが労働委員会・裁判や人権擁護委員会に提訴するとなると,新聞やテレビがそれを大きく報道し,最初から会社側に決定的なダメージを与える結果となる.NOVA・日米英語・ジオス・日仏学館などはその例である.

一方,プライドの高いワンマン企業や,法律を知らない会社は,労働委員会を軽視して失敗する場合がある.コンピューターのドットコムや,インドのシーコム,日仏学館やグアム政府観光局など,経営が,外国人や外国公館などの場合,自分たちは日本企業=日本人でないので日本の法律は関係ないと開き直って失笑をかってしまった.

労働委員会での「あっせん」

会社と交渉したり,組合の支部を結成する場合に必要なアドバイスは,必ず契約書・給与明細書・タイムカードなどを全部ファイルし,やりとりやミーティングあった場合は,メモ・撮影・録音しておくこと.

労働委員会は不当労働行為だけでなく「あっせん」も取り扱う.交渉や労働争議でデッドロックになった場合に申請ができ,「あっせん」のテーブルに着く着かないは自由である.労働委員会の委員が,交互に労資にヒアリングを行い,あっせん案呈示を模索する.ただ,「あっせん」はその性格上,会社が土壇場で拒否したり,「中を取る」ような解決で終わることもある.だから,「あっせん」でまとまらなかったら,争議などの直接行動や不当労働行為申立に移行するのが,セオリーである.

なお労働委員会はすべて日本語.というルールがあったが,ゼネラルユニオンは,おおさかユニオンネットワークや全労協と共同で,98年に公的通訳の配置を大阪府に要求した.そして今では,「英語で,1証人のみ」という限定はあるが,全国でも珍しく,大阪府が予算を計上し,労働委員会が用意した通訳で審問ができるようになった.

「裁判所」への提訴

相談者や組合員の中で,何かあれば裁判をしようと思う人も多い.しかし日本の裁判は時間がかかりお金も高くつくので,そう簡単ではない.これらを説明し,納得してもらうのがなかなか難しい.ゼネラルユニオン自体も,裁判のケースは,ジオス・大阪学院大・日米など,そんなに多くはない.争議で有利に進めていても,敗訴すると争議もピンチになる.だから,絶対勝訴すると判断した場合にだけ提訴している.【逆に,「会社から契約違反で訴えられた」などの相談は,当然,受けて起つことにしている】

組合員に問題があったら,組合はすべてサポートしてくれると思っている場合が多いが,こうした裁判や長期争議の場合は,生活対策を含めて,特に本人の頑張りが重要である.

労働組合は労働条件向上がメインだから,何でもかんでも訴えるというわけではない.

日米の場合は,仮処分確定後,本訴で,裁判所へ2年間通った.大変だったが,ユニオンにとっていい経験だった.ゼネラルユニオン結成以来,十数年の間に,「インタラック・日米・ジオス・ECC・東大阪市教委・NOVA・日仏学館・中国人実習生・松下電器など」これら大争議が,毎年のようにあった.が,必ず勝利しており,組合員の教育,各社への警告といった面で大きな効果があった.

「少額訴訟(簡易裁判所)」

請求額が90万円以下の場合,例えば,賃金や,解雇予告手当の未払問題などに便利.和解と同じ進め方で,弁護士も不必要.訴状も記入式でわかりやすい.簡易裁判所は各地域にあって簡単このうえない.そして証拠書類が明らかであれば必ず勝つ.ただ,小さい会社など,契約書や就業規則など,書類をほとんど残さないルーズな所があり,証拠保全や立証に一工夫が要る.

 


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