猿橋元社長の背任・詐欺商法・賃金不払は全部立件すべき。NOVA講師とゼネラルユニオンが「猿橋不起訴は不当」と、10月23日に検察審査会に申立。

 ゼネラルユニオンは、十数年来、NOVA教職員や被害生徒からの多言語相談を続けています。しかし、今回の倒産が、数十万人もの消費者被害と7千人解雇という戦後最大の社会問題―国際問題なのに、未だに真相究明や責任の所在が明らかになっていないことに、憤りを感じます。

 この1年間、地裁管財人や警察当局が発表し、連日報道されてきた「NOVAと猿橋元社長の特別背任・詐欺商法・賃金不払など」の解明を期待してきた。だが、経産省等の行政も責任回避する中、肝心の巨悪は、大阪府警が逮捕も送検もしていない。そして何故か、別件逮捕のような「親睦会費流用」のみが公判中です。

 ユニオンが労基法違反を訴え、大阪労働局が送検した「賃金不払」でさえ、大阪地検は「不起訴」とし、捜査終了を発表しました。不払総額は17億円と史上最大で、私物化した乱脈経営をも勘案すれば、この不起訴は到底容認できません。当局の立件があれば、猿橋氏らに謝罪させ、授業料・賃金等を償わせるの道が開けます。

 ゼネラルユニオンは、元NOVA教職員の組合員と共に、10月23日に、大阪第二検察審査会に申立をを行ない、受理されました。この際のゼネラルユニオンとNOVA講師のコメントは、テレビと新聞各紙で報道されました。


検 察 審 査 会 申 立 書

*被疑事実の要旨

 被疑者は、2007年10月25日に解任されるまで、株式会社ノヴァ(以下、「ノヴァ社」という)の代表取締役であったが、同社に勤務していた日本人社員134人の2007年9月分の賃金33,046,891円をその支払い期日である同年9月27日までに支払わず、また外国人講師266人の2007年10月分の賃金72,220,524円をその支払い期日である同年10月15日までに支払わなかったもの。

 但し、これは、大阪労働局が、被害調書を作成した「一部の従業員分」であり、同様の賃金未払の被害にあった「総数は約7000人。総額は約17億円」にのぼる、という戦後最大級の「賃金不払事件」であった。 上掲被疑事実に基づき、2008年6月30日に大阪労働局はノヴァと被疑者を、それぞれ「労働基準法第24条1項、2項違反(賃金不払い)」として、大阪地方検察庁(以下、「大阪地検」という)に書類送検した。

*不起訴処分を不当とする理由

 報道機関によれば、不起訴処分の理由は次の通りである。

 大阪地検は被疑事実につき「ノヴァ社の経営が悪化していたので、賃金不払いは故意ではない」、「被疑者はノヴァ社に私財を投じていた」を理由として、2008年7月29日に被疑者を不起訴(嫌疑不十分)とした。 しかしながら、大阪地検による当不起訴処分は下記に述べる通り、極めて不当である。

*経営悪化による賃金不払いについて

 まず、労働基準法違反(賃金不払い)については、たとえ不払いの理由が「経営悪化」であったとしても、これを免れることは出来ない。これまで「経営悪化」を理由とする賃金不払いであっても、起訴され刑事罰を課せれられている。 しかしながら、「経営悪化」に至った理由を勘案し、理由によれば情状酌量の余地を検討することは、社会通念上妥当と言えるが、当被疑事実においては次に述べる通り、情状酌量の余地は無い。

(ア) 違法なノヴァの「詐欺商法」について

 ノヴァ社は語学学校を経営する企業であったが、その商法は「大量の受講ポイントを登録すると、一回あたりの単価が安くなる」と受講生に説明し、受講生に「高額な受講料の前払い」契約をさせるものであった。しかしながら、受講生が中途解約による前払い受講料の返金を求めたら、不当に減額し前払い受講料の一部しか返金しないという不正行為を繰り返していた。(以下、このノヴァ社による商法を総称して、「ノヴァ商法」という)  

ノヴァ商法については、すでに社会問題となっており、前払い受講料の返還を求める幾多の民事訴訟が提訴されるに至った。2007年4月、最高裁がこのノヴァ商法に対し、「ノヴァ社の解約時清算条項が特定商取引法に違反し無効である」との判決を下した。(以下、この最高裁判決を「ノヴァ事件最高裁判決」という)

(イ) ノヴァ社が経営悪化に至った理由 ノヴァ事件最高裁判決により、2007年6月に特定商取引法を管轄する経済産業省(以下、「経産省」という)はノヴァ社に対し、1年または授業時間が70時間を超える長期の新規契約について、14日から6ヶ月間の業務停止を命じた。(以下、この業務停止命令を、「経産省・行政処分」という)

 既にノヴァ商法が社会問題化していたことやノヴァ事件最高裁判決により受講生の減少を来たしていたノヴァ社は、経産省・行政処分を受け新規の受講生の獲得が困難となり、併せて既存受講生の中途解約が殺到し、以後急速に経営状態が悪化した。しかも、これらの法違反は、永年にわたり、全国の消費者センターに持ち込まれ、全国各地の裁判所で「違法な商法」と、断罪され続けてきた経過があり、ノヴァ社は、それを認識しながら、法違反を続けてきた悪質なものであった。

 上掲(ア)及び(イ)で述べた通り、ノヴァ社が経営悪化に至った原因はノヴァ事件最高裁判決で明らかになった通り、不当な「ノヴァ商法」によるものである。よって、ノヴァ社の経営悪化につき情状酌量の余地は一切無い。

 情状酌量のみならず、大阪地検の「賃金不払いは故意ではない。」なる判断について考察する。ノヴァ商法は以前より社会問題化しており、受講生の減少の結果、ノヴァ社は2005年度並びに2006年度において、2期連続の赤字となった。また、受講生による「前払い受講料の返還」を求める訴訟が幾多も提起されていた。係る事情から、当時ノヴァ社の代表取締役であった被疑者はノヴァ商法を改善する必要に迫られていたが、これを全く行なおうとせず、被疑者の不作為を要因として、ノヴァ事件最高裁判決及び経産省・行政処分を発端とする、ノヴァ社の経営悪化が生じた。

 故に、ノヴァ商法の改善を怠った被疑者の責任は重大であり、「ノヴァ社の経営悪化による賃金不払い」は、被疑者の故意によるものであると言わざるを得ない。仮に、明らかに故意とは言えないとしても、被疑者による未必の故意は問われて相当である。

*被疑者によるノヴァ社に対する私財の投入について

 経営が悪化し賃金の未払いが発生している企業において、誠実な経営者がコツコツ貯めた自身の私財を投げ打って、困窮する自社従業員に対する賃金支払いに充当したとするなら、これは一種の美談として、賃金不払いに対し考慮すべき要素かもしれない。しかしながら、当被疑事実においては、次に述べる通り、その様な「美談」は存在しない。 まず、申立人は大阪地検が言う、「被疑者によるノヴァ社に対する私財投入」については不知であるが、仮に被疑者がノヴァ社に私財を投入したとしても、後掲の通り、「被疑者の私財投入」が不起訴処分の理由とはならない。

(ア) ノヴァ商法による蓄財の不当性

 上述の通り、ノヴァ商法が法令に抵触することは、ノヴァ事件最高裁判決で確定している。よって、ノヴァ社とは「不法行為により、不当に利益を得ていた。」企業と言わざるを得ない。この不法行為を常習としていた企業の株式を売却したり配当を得たりして、被疑者は私財の蓄財を行なった。

(イ) 役員報酬の不当性

 被疑者がノヴァ社から得ていた役員報酬も、蓄財の一手段であった。報道機関によると、ノヴァ社が役員らに支払った報酬総額のうち、被疑者へのものが95%を占めていた。  役員報酬の額のみならず、高額の役員報酬を被疑者に支払った時期も問題である。既述ではあるが、ノヴァ社は2005年度と2006年度において赤字であった。しかし、赤字にもかかわらず、被疑者のみ高額の役員報酬を得ていたのである。一般的には企業が赤字となれば、その経営者は役員報酬を減額されるものである。それが、巨額の役員報酬を得ていたとなれば、常軌を逸していたと言わざるを得ない。

(ウ) 特別背任の嫌疑

 報道機関によれば、ノヴァ社は被疑者が実質的に全株式を保有する企業「ギンガネット」から、仕入れ価格の数倍にもなる機器を大量に購入していた。結果、被疑者がノヴァ社に対し40億円以上の損害を与えたこととなり、当時のノヴァ社保全管理人が「特別背任」まで言及している。また、被疑者が理事長を務めていた財団法人「異文化コミュニケーション財団」に対して、教材の取引を装ってノヴァ社より約1億円の利益を提供していた。

以上の通り、被疑者は様々な手段を用いて不当に私財を蓄財していた。被疑者は、私財の蓄財の為なら、躊躇無くノヴァ社に損害を与える人物であり、全くもって「誠実な経営者」とは言えない。被疑者は、長年ノヴァ社に対し損害を与えておきながら、「賃金不払いに対し私財を投じた。」なる弁明をしているが、罪を免れようとする詭弁に他ならない。

  (エ) 被疑者の責任

 上掲第?でも述べたが、被疑者は賃金不払いに至る経営悪化が生じる前に、ノヴァ商法を改善する必要に迫られていた。しかしながら、被疑者は全くこれを行なおうとせず、あろうことか上掲(イ)及び(ウ)で述べた通り、ノヴァ社の経営状態を一切省みず、ひたすら不当な手段で私財の蓄財を行なった。

 ノヴァ社による経営悪化の責任が被疑者にあることについては、ノヴァ社破産管財人による平成20年4月18日付「財産報告書」でも指摘されている。この様に、ノヴァ商法の改善を怠った点、長年不当な手段で私財の蓄財を行なった点から、被疑者はその責任を問われて相当である。

 上掲(ア)及至(エ)で述べた通り、「賃金不払いに対し私財を投じた。」なる言は詭弁に過ぎず、更には被疑者が投じたとされる私財は、不当な手段でノヴァ社に損害を与えて蓄財したものである。よって、大阪地検の言う「被疑者はノヴァ社に私財を投じていた」は、全く不起訴処分の理由にならない。

*結 語

 以上から明らかな通り、大阪地検が不起訴処分の理由とする、「ノヴァ社の経営が悪化していたので、賃金不払いは故意ではない」、「被疑者はノヴァ社に私財を投じていた」は、全く理由が無い。よって、大阪地検の不起訴処分は極めて不当なものである。

 被疑事実にある賃金不払い額は戦後最大規模のものであり、また賃金不払いを含むノヴァ社の倒産問題は、連日報道機関により大々的に報道されており、社会的関心の極めて高い事件であった。賃金不払いの規模や関心の高さから、被疑事実は社会的影響が極めて大きい事件である。社会に与える影響の極めて大きい被疑事実に対し、これを不当な理由で不起訴処分とすることは、労働基準法軽視の風潮を生み、賃金不払いを横行させる要因となりかねない。

労働基準法は、「賃金不払い」に対し罰条を定める事でこれの抑止を図り、労働者の保護を法の目的としている。大阪地検の被疑事実に対する不起訴処分は、労働基準法の形骸化を招く行為であり、広く労働者の保護を目的とする労働法制全般をも揺るがしかねない。

 被疑事実に関しては、大阪中央労基署や大阪労働局は、全国のノヴァ社授業員からの申告をうけ、ノヴァ社や被疑者に対し「賃金を支払う」様、幾度も是正勧告出した。しかしながら、被疑者はこれらを無視し、未払い賃金を一切支払おうとしなかった。

 ノヴァ社従業員に対しては、賃金を払っていない状態が続いていたにもかかわらず、「○月○日に絶対払う」などと記載されたFAXを全国全校に何度も送りつけた。しかしながら、それらFAXに記載された期日までに被疑者は賃金を支払うことは無く、もって被疑者はノヴァ社従業員を愚弄し続けた。一方、ノヴァ社従業員はノヴァ社の経営状態が悪化し混乱を極める中、ノヴァ社受講生からの膨大な苦情に苦慮している最中であり、その様な状況に際して、賃金支払いの約束を繰り返し反故した被疑者の所為は、極めて悪質である。 よって、貴審査会におかれましては、被疑事実の規模及び社会的影響も勘案の上、大阪地検の不起訴処分に対し、「起訴相当」もしくは「不起訴不当」の議決をされることを、強く望みます。                      【以 上】


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